ケアとテクノロジー

概論 | 記事URL


テクノロジーの発展は急激に社会に実装されつつある。これまでの科学技術の研究開発の蓄積は、圧倒的に急激な社会実装化されつつある。その過程の中で様々な軋轢が生じるだろうし、その克服は今後数十年を要することになるだろう。しかし、そのような克服の努力の結果人類がどのような未来を手に入れることができるのかは必ずしも楽観できるものではない。かといって悲観しているわけではなく、大きな努力を要することになる苦難の道であることは確かである。

今日のイノベーションの社会実装化のプロセスにおいて、近代以降蓄積されたコモンセンス(教養、共通意識)が棄損される、もしくは改訂される可能性がある。元々、技術発展は社会のあり方を大きく変化させることは歴史の中でよく見られた現象である。そのような現象が、今後私たちの身の上に起きないとは言えないだろう。私たちが「普通のこと」として受け入れている権利や習慣が技術によって否定される日がやってくるかもしれない。

その際に、私たちはどのような対応をするべきだろうか?デモや社会的運動を起こして、抵抗するべきだろうか。それとも前向きに受け入れて、その中で調整できる限りの調整をするべきだろうか。その答えはまだ私たちにはわからない。



フレンド・ショアリング

経済安全保障 | 記事URL


米国バイデン政権は「フレンド・ショアリング(friend-shoring)」というコンセプトをが提唱している。フレンド・ショアリングは「信頼できる貿易パートナーとの経済統合を深めること」で、同盟関係や友好関係にある国地域内でのサプライチェーンを構築するとともに、さらに多様化し、経済的リスクの軽減も進めることを含めて考える。

フレンド・ショアリングは米中間の覇権競争の顕在化と深刻化の中で、2016年頃から米国の経済安全保障の一環として構築を急いだサプライチェーンの重要なコンセプトである。

直接的には、米中覇権競争、世界的なコロナパンデミックやウクライナ戦争等による対応として出現した考え方とみることができるが、行き過ぎたグローバル経済の適正化もしくはパラダイムシフトとして捉えることもできる。

●2021年「繁栄のためのインド太平洋経済枠組み(IPEF:Indo-Pacific Economic Framework for Prosperity、以下IPEF)」(東アジアサミットでバイデン大統領によって提唱)
●2022年「貿易・技術協議会(TTC:Trade and Technology Council)」の設立。米国とEUの間での経済安全保障の確保を目的。

フレンド・ショアリングは、経済安全保障は保護主義によってのみ実現可能という主張への反論でもある。国内生産や少数の国との取引にだけ限定してしまえば、貿易の効率向上を著しく損ない、アメリカの競争力とイノベーションに打撃を与えるだろう。私たちの目標はリスクのある国との取引やサプライチェーンの集中から脱却し多様化を図ることだ。フレンド・ショアリングは閉鎖的ではなく、先進国に加え新興市場や途上国におけるアメリカの貿易パートナーも含めたオープンなものになる。



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